2016年1月29日金曜日

美味しさはどこから

こんにちは。

天日干しでお米を栽培し始めて三年が経ちました。「自然栽培」、「天日干し」や「はさがけ」のお米が美味しくなる理由をなんとか科学的な根拠のもと実証できないかと、機械で「食味値」を分析してみたり、直接の美味しさではないけど、天日干しの良さを証明するために「発芽率」の実験を今やってみているところです。
【一般的に天日干しが良いとされている理由】
・逆さまに稲を掛けるので、葉っぱや茎の養分が稲穂へ凝縮される(特に穂先の生命力は凄いです)
・機械乾燥とは違い、お天道様と風と空気力でゆっくり乾燥させるのでお米にやさしく、乾燥ムラも少ない。
などがあります。
はさげけの作業風景


 だいぶ前のことになるのですが、収穫期にある方が取材に来てくださりました。出来上がってきた原稿を読むと食味値や発芽率の「見える美味しさ」ではなく「見えない美味しさ」に着眼されて感動しました。時間が経ってしまいましたが、皆さんにも紹介したいと思います。

以下記事引用
 先日、山間部で 稲のはさ掛けをしている親子に出会った。30~40年前は はさ掛けは当たり前の風景だったが、今日では 9割以上の農家さんが 刈取りと脱穀を一度にできるコンバインで収穫し、その後 乾燥機に入れ、短時間で 強制的に乾燥させる。
 全国のほとんどのお米は熱風乾燥なのだが、近年、価格が多少高くても 美味しい天日干しのお米をもとめる人が 増えていると聞く。確かに天日干しのお米は美味しい。それは、昔から失敗を重ねながら、長い年月をかけて米作りに生涯を懸けてきた人達のかけがいのない貴重な経験値のお陰なのである。光と風と湿度を考えながら日々観察し、己の全ての人生を気候に合わせたことが 今日の天日干しの極上の美味しさに結びついたのである。
 はさ掛けの父子は、秋晴れの空の下、梯子(はしご)の上にいる父に向って声を掛け、刈り取った稲束を投げている。父親はそれを受け取ると稲束をパッと2つに分け、はさに掛ける。
農業は辛い労働であるが、父子のかけ声が 豊かな山間部に響き、穏やかな陽射しと共に 実り豊かな収穫と、暖かな幸福に満ち溢れた情景がそこにあった。何気なく見えるこれらの仕事もまた 天日干しの より良い美味しさに加わっていくのであろう。
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天日干しはいうまでもなく、もの凄く手間がかかります。現代の効率化、機械化された農業からみると逆行することだと思います。そんな「はさがけ」をどうしてやるかというと、収穫の喜びをダイレクトに味わい、稲の生命を近くで感じることができるからです。真っ青な秋空の下、初めてはさに稲をかける作業をしたとき感じた「自然との一体感」みたいな感覚は、これまでの人生で感じた五感の中でもかなり衝撃的なものでした。はさに掛かった稲穂は私の乏しい語彙力では表現できないほど美しく、命の力強さを感じました。
はさを作り、そこに稲を掛ける。その風景は里山に馴染み、ここで生まれ育ったことを初めて誇りに感じました。里で農業を営むことをホジティブに捉えはじめたのもこのときだったかと思います。自然の力で乾燥させる行為は、自然と作物の関係から見れば自然なことであると直感でわかります。

その感覚を信じて、そしてより確かなものにしたい

もっと多くの人と共有したい、伝えたい

そんなことを願い自然栽培とはさがけのお米づくりを来年もやったるぞ!!とボヤいてみた本日のブログでした。
妻と父と自分
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