2015年12月24日木曜日

まんぞうが教えてくれること その弐

さて、前回の続き。
前回は、まんぞうとは何ぞや、農業が盛んな田舎集落では、まんぞうなしに集落は維持できない、
常日頃から助け合い、お互い様の精神が根付いているとお話しました。

このまんぞう最近は変化してます。
例えば、、今の時代、息子世代は集落を出て外で暮らすケースが増えています。
そして、祖父母、親世代が生きている間は、まんぞうのことは面倒を見てくれているので、なにも心配いりません。
しかし、ここからがややこしい話になるのですが・・・
例えば、親が亡くなり、遺産として山林を相続したとします。
当然、固定資産などの税金がかかってくるのですが、これはしっかり納税するでしょう。
しかし、集落のみんなで共有している林道の維持管理費(下草刈りの人足代や補修費など)をまんぞう割で請求されたとします。
そこで、息子が怒り心頭するわけです。

「山林なんて今どきお金になるわけじゃあるまいし、
俺は好きで相続したわけじゃない!!
税金を納めている以上、法的にはなんら問題ないはずだ!!」

これは、結構どこにでもある話みたいで、父親とも以前話題にあがりました。
このこと一つとっても結構いろんなことが見えます

・何でもすぐ法律を持ち出し盾にする
・個人主義な時代
・金銭的な余裕がない
・田舎の負の遺産(田畑、山林など)
など・・・etc

なかでも「田舎の負の遺産」
これは深刻な問題で、自分にも降りかかってくる問題です。
田んぼひとつとっても、米農家の私が言うのもなんですが、条件の悪い山の田んぼで、親から田んぼを引き継ごうなんて普通思いませんよ。

自分のように農家になるといって東京から帰ってくる変わりモンは普通いません!!

そんな私にとっても不利な条件の農地ははっきり言って「負の遺産」だと思っていました。
山林なんてあと20年もすれば今以上に管理が出来なくなって林道も荒れ、山に入るのすら難しくなるでしょう。なんの財にもならないものになると思います。

しかし、しかしですね、良く考えてみると、その昔、これらの田畑・山林は先人が苦労に苦労を重ね開拓した、知恵と努力の結晶です。そして、まんぞうという形でみんなでお金を出し合って、今日まで引き継いでくれたのです。私が、自然栽培でお米を作ることが出来るのも、ずっと田んぼを作り続けて守ってくれた、先人農家のおかげです。そして、まんぞうから分かったのですが、何もうちの田んぼを作っていた私の先祖だけに感謝するのは間違いだと!!

私の故郷H集落全ての先祖の血と汗、愛に感謝しなければいけない。

捨てるのは簡単です。でも、一度捨てると欲しい時にもう一度手に入れるのは何倍も時間と労力がかかります。これが分かっていたから先祖様は守り抜いてきたのです。

なので私はこの「負の遺産」とみられる、自分も半信半疑なこの里山で農業を営み、職業として続けられるように模索して挑戦したいです。

捨てて後悔するくらいならとことん立ち向かいます。

集落の元気なおっかちゃん達と92歳の祖母



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